黒沢口第十五番　覚明堂

【覚明堂かくめいどう】はこれまでに何度か登場していますね！今回は黒沢口第十五番としての【覚明堂かくめいどう】を紹介いたします。

朱印帳の説明

覚明行者は御嶽山を開山した翌年の天明六年（１７８６）に御嶽山頂上付近のニノ池で入定したが、ミイラ化した遺骸が信者たちによって九合目赤岩の岩陰に葬られたとされる。ここを覚明堂と称するようになった。
傍らに諸国を巡回布教し御嶽信仰の普及に大功のあった覚明講祖義具よしとも霊神の銅像がある。

朱印帳　御嶽山三十八史跡巡り　より

まず【入定にゅうじょう】については前回記事入定ってどういう意味？？をご覧いただきたいですし、“ミイラ化した遺骸”という書き方にも【即身仏そくしんぶつ】を意識しているのが感じられます。

そして“九合目赤岩の岩陰”とありますが、「赤岩」と呼ばれる場所は現在は九合目下に当たります。実際、この【覚明堂かくめいどう】の岩壁も赤みがかっているので、場所はここの位置で間違いはないと思いますが、少しややこしいですね。

加えて残念ながら、「義具よしとも霊神の銅像」が発見できませんでした・・・。また次回上がった際に、探しておきます。
“傍かたわら”とは覚明霊神像の“傍かたわら”なのか、埋葬した位置の“傍かたわら”なのか？？
この【覚明堂かくめいどう】のページは、ずいぶん読解に難を要しています。

覚明堂への行き方

黒沢口
六合目　中の湯登山口
↓ 0'55
七合目　行場小屋（ロープウェイ登山口）
↓ 1'10
八合目　女人堂
↓ 1'05
九合目　石室山荘
↓ 0'15
覚明堂

石室山荘いしむろさんそうから見上げる位置に、今は使われていない廃屋になった小屋が残っています。

覚明堂かくめいどうが賑わっていた頃に想いを馳せます。

小屋跡のすぐ横に【覚明堂かくめいどう】の霊場があります。

小さい広場（霊場）になっているので、信者さんたちはここで勤行をあげたり【御座おざ】儀礼を行っています。詳しくはこちら御座見学でまさかの〇〇！強力取材②

頭陀袋と五鈷鈴と賽銭箱

【覚明行者かくめいぎょうじゃ】の立派な銅像が建っています。
すぐ足元に「黒沢口第十五番覚明堂」の石碑があります。

そして【覚明行者かくめいぎょうじゃ】の頭陀袋ずだぶくろにも注目ください。
頭陀袋ずだぶくろには覚明行者の頭陀袋に注目！でも書いた、【覚明講紋かくめいこうもん】が掘られています。

そして右手には「五鈷鈴ごこれい」という法具を持っています。「五鈷鈴ごこれい」とは、五鈷杵ごこしょの片端が鈴になっている密教法具です。【覚明行者かくめいぎょうじゃ】の図像には必ずと言っていいほど、頭陀袋ずだぶくろと五鈷鈴ごこれいが描かれています。

この二つは【覚明行者かくめいぎょうじゃ】のトレードマークと言えますね。残念なことに、重さで鈴の部分が落下しております。だいぶ劣化が進んでいるようで、傷ましい状態です。

ですが、少しずつ修繕されてる箇所もあります。上の写真を見比べて、賽銭箱が新しくなってるのが分かるでしょうか？

前の賽銭箱が土砂で壊れていたので、先回質問！強力(ごうりき)って何ですか？！で紹介した強力ごうりきの倉本くらもと豊ゆたかさんが、新しい賽銭箱を作り奉納してくださいました！さすが大工さんです！！（※倉本さんの本業は大工です）

この【覚明堂かくめいどう】は、御嶽山の中でも屈指の重要な場所です。そして行者さんや信者さんたちにとって、神聖な場所です。ここを通る際は、【覚明霊神かくめいれいじん】へ手を合わせて、御嶽山開山の感謝を伝えましょう。

参考文献：
「木曽のおんたけさん」（執筆編集代表　菅原壽清すがわらとしきよ）
「朱印帳　御嶽山三十八史跡巡り」（木曽御嶽神社）

写真提供：
強力　倉本 豊 氏（情報提供含む）
高針心願講　大鐘 龍昇 先達さま
長野県製薬株式会社　角間 洋平 氏