『御嶽かるた』の全札が完成したので、まずは制作の段階からお世話になっている御嶽山の山小屋に、かるたを展示していただくことにしました。

今回、ミニ展示スタンドを贈呈したのは、行場山荘、女人堂、石室山荘、ニノ池山荘の4ヶ所です。御嶽山にあるすべての山小屋を紹介するものではありません。あくまで、かるたの主役は「御嶽山」です。その魅力を伝えるうえで欠かせないキーワードとして、読み札に登場した山小屋を対象にしました。
4ヶ所の山小屋には、かるたの制作段階から相談に乗っていただき、貴重なご意見をいただいたり、写真を提供していただいたりしました。そこで、感謝の気持ちも込めて、各山小屋にゆかりのある札を2枚ずつ選び、展示用のミニスタンドを制作しました。かるたの裏面にある解説も見られる仕様にし、制作の記録を紹介するブログ記事へアクセスできるQRコードも付けています。

では、ミニ展示スタンドを背負って、御嶽山へ向かいましょう!

山が色づく季節ですね!
まずはニノ池山荘へ
まずは今、私が一番お世話になっている山小屋、ニノ池山荘まで一気に上がりました。
ニノ池のほとりに建つニノ池山荘は、御嶽山の山小屋の中でも、最も標高の高い場所に位置しています。小屋の中は明るく、暖かく、とてもきれいです。

ニノ池山荘と小寺さん
ニノ池山荘を経営する小寺祐介さんへ贈呈しました。

ニノ池山荘には大きな神棚があり、たくさんのお供え物や贈答品が並んでいます。なんと、その中に『御嶽かるた』も一緒に並べてくださいました。

すると翌朝、さらに嬉しい出来事がありました。
宿泊された方から、「御嶽かるたの展示からブログを拝見しました。とてもいいですね!いつ販売の予定ですか?」と声をかけていただきました。まさか、こんなに早く『御嶽かるた』を見てくださる方がいるなんて!本当に嬉しかったです!
そして、「あれ?これって販売アリかしら?」と思えるきっかけになりました。
ニノ池山荘に届けた札は?
ニノ池山荘に届けた札は、「に」と「つ」です。
「に」の札
「に」の札のキーワードは「ニノ池」と最初から決まっていました。しかし、『御嶽かるた』とは?!①45枚の読み札の作り方でも述べたように、「ニノ池」の何を伝えたいのかをずっと悩んでいました。
ニノ池山荘を経営する小寺さんは、2014年9月27日に起こった御嶽山の噴火を小屋で経験しています。そのため、噴火時の写真や、ご自身の経験をまとめた資料、当時の新聞記事、その他美しい御嶽山の自然写真もたくさん展示されています。
当初は、「二ノ池で 覚明行者 入定す」でしたが、ニノ池山荘に通ううちに私の考えが変わり、今の札「ニノ池は 火山灰に 眠る池」となりました。
「つ」の札
「つ」のキーワードは焼印です。読み札の「杖をつき 焼印いれて 六根清浄」はかるたの構想時から変わっていません。当初取り札の写真は、焼印と金剛杖のアップでしたが、各山小屋の工夫を凝らした焼印や、焼印を入れている山小屋の方々を見ているうちに考えが変わりました。
「この札の主役は、焼印や金剛杖を持つ信者ではなく、焼印を入れている小屋の人だ!」と思い直し、写真は小寺さんが実際に焼印を入れている姿に変更しました。
ニノ池山荘の「焼印」は、小寺さんがデザインしており、とても細かい技巧が施されています。

焼印のほかにも、小寺さんがデザインしているTシャツ・手ぬぐい、山バッチなど、どれもオススメです。御嶽山を訪れた際には、ぜひニノ池山荘にも立ち寄ってみてください!




9合目、石室山荘へ
翌日、「ニノ池山荘」を後にして、9合目まで下りました。
次の小屋は、石室山荘です!
石室山荘は、小屋の中を歩いて通過できるようになっているため、たくさんの登山者が行き交います。昔ながらの小屋の形を残してある、貴重な山小屋です。


石室山荘と向井さん

石室山荘を経営する向井修一さんへ贈呈しました。

登山者の目に留まりやすい場所に、置いていただけました!ありがとうございます。解説資料も見ていただき、向井さんから「これは小学校にも案内したらいいんじゃない?」など提案もいただきました。

向井さんとお話ししてると、さっそく!
「なんですか、それ?」
と興味津々にQRコードを読み取ってくださった行者さんがいました!その場で興味を持っていただけたことが、とても嬉しかったです!
石室山荘に届けた札は?
石室山荘に届けた札は、「う」と「か」です。
「う」の札
「う」の札は「上見上げ あともう一息 石室山荘」でキーワードはそのまま「石室山荘」です。この札は、制作当初から決まっていました。登山者の気持ちを代弁しており、私自身がいつもそう思って石室山荘を見上げているからです。
石室山荘の向井さんは、かるた制作の初期の頃から相談にのってくださり、たくさんのご意見をくださいました。向井さんから、かつて石室山荘へ向かう急登は「胸突き八丁」と呼ばれていたことや、上から見下ろした石室山荘の構図も好きなことなどを教えていただきました。裏面の解説に活かせることができたと思います。

「か」の札
「か」の札は「覚明さん 御嶽山を 開くなり」でキーワードはもちろん「覚明行者」です。この札も、制作当初から決まっていました。「ふ」の「普寛さん 御嶽山を 広めたり」と対になっています。「か」の札は、石室山荘直上の「覚明堂」の写真を使用しているので選びました。

8合目、女人堂へ
「ニノ池山荘」「石室山荘」を後にして、8合目まで下りてきました!
女人堂は、ロープウェイ山頂駅である7合目から約1時間歩いた場所に位置しており、視界も開けるため、多くの登山者が休憩したり、立ち寄ったりする場所です。御嶽山の黒沢口登山道は、1合ごとに山小屋があるのも特徴です。

女人堂と起さん

8合目の山小屋、女人堂を経営する起信幸さんです。

無事、起さんへも贈呈できました!一緒に写っているのは、女人堂を長く手伝っていらっしゃる男性です。

起さんは、いつも登山道の整備を丹念に行ってくださっています。この日も、真新しく設置された木段を目にしました。いつもありがとうございます。
女人堂に届けた札は?
女人堂に届けた札は、「く」と「れ」です。
「く」の札
「く」の札は「黒沢口 8合目には 女人堂」でキーワードはそのまま「女人堂」です。この札も、制作当初から決まっていました。「に」は前述の通り「ニノ池」で決定していたので、「く」の札で紹介することになりました。女人堂は大きく「8合目」と書かれた看板がありますし、この札を読んだ人が「黒沢口登山道の8合目には女人堂があるんだな」と一目で分かるように選びました。
取り札の写真はについては、「女人堂を紹介するなら、どの写真がふさわしいでしょうか」と、事前に起さんに相談をしていました。そこで、少し上の「金剛童子」からの女人堂を撮影した写真を使用することになりました。
さらに、女人堂が最も美しい紅葉の時期に合わせ、裏面で解説することができました。
「れ」の札

女人堂に渡す札として選んだもう一つは「れ」の札です。「れ」は「霊神碑 行者の魂 お山に還る」です。キーワードは「霊神碑」そのものですが、取り札の写真として使用しているのが、ここ8合目の霊神碑なので、女人堂に飾るにふさわしい札だと思い、選びました。

秋はナナカマドが彩る美しい山裾に、思わず惚れ惚れします。

女人堂は、小屋の戸が大きく開放されていて、売店や小屋の中の様子が外から見やすいのも特徴です。

景色・霊神碑・紅葉・売店、、、そんな見どころたくさんの女人堂へ立ち寄った際には、
『御嶽かるた』の展示スタンドにも気づいてもらえると嬉しいです。

7合目、行場山荘へ
今回紹介する山小屋ラストは、7合目の行場山荘です。行場山荘は、ロープウェイを下りて徒歩約10分、登山をしない方でも気軽に立ち寄ることができる山小屋です。また、石室山荘と同じように、小屋がそのまま登山道になっているため、靴を履いたまま中に入って休むことができます。
行場山荘と田ノ上さん

行場山荘を経営する田ノ上陽介さんへ贈呈しました。田ノ上さんはSNSで頻繁に行場山荘の情報発信をしています。さっそくこの「ミニ展示スタンド」を紹介してくださいました!ありがとうございました!

行場山荘に届けた札は?
行場山荘に届けた札は、「ち」と「こ」です。
「ち」の札
「ち」の札は「ちからもち 行場の名物 腹満たす」でキーワードは「ちからもち」です。この札も制作当初から、「ち」と言えば絶対「ちからもち」でしょ!と決まっていました。

ぜんざい(あんこ)味か、きなこ味を選べて、お茶も付いてたったの500円には驚きです。

さらに、今年からの新メニュー「クリームぜんざい」(700円)は超オススメです。ぜんざい&クリーム&雷鳥の里で、甘さとしょっぱさの組み合わせが、最高に沁みました。

シーズン中は多くの信者さんも訪れ、ちからもちの大量注文が入ることもあるそうです。
「こ」の札
もうひとつに選んだ札は「こ」です。「こ」は「強力は 信者を案内 荷を背負う」です。御嶽山の文化を象徴すると言える「強力」について、私はこれまでも熱く語ってきており、強力を担う男性の同行や取材もしてきました。
強力を雇う御嶽講の方々は、必ずといってよいほどこの行場山荘に立ち寄り、お詣りや休憩、登拝準備を行います。一般の登山者や観光で来た方が「強力」が荷組みする姿や、信者と歩く姿を目にしやすい場所だと思い、あえて「こ」の札を選びました。
登山者、信者さん、一般の観光客。
いろいろな方々に『御嶽かるた』を見てもらえたら嬉しいです。
御山おんやま御礼おんれい!
ご紹介した『御嶽かるた』ミニ展示スタンドには、それぞれの山小屋にゆかりのある札を2つ選んであります。
御嶽山のシーズンも残りわずかですが、山小屋を訪ねた方は、ぜひこのミニ展示スタンドを探してみてください。立ち寄った場所で、ふと『御嶽かるた』に目を留めて、
「これ、なんだろう?」
「この札の意味は?」
「こんな場所があるんだ」
と興味を持ってくださったら嬉しいです。
『御嶽かるた』が、御嶽山のあちこちで、新しい出会いにつながりますように。
今日も、御山に御礼申し上げます。そして来年以降も『御嶽かるた』を飾ってもらえますように!
