なぜ御嶽山で滝行するのか?

御嶽山の歴史

御嶽山へ初めてきた人や、山岳信仰をあまり知らない方へ向けて
滝行たきぎょうとは何か?」「なぜ滝行たきぎょうするのか?」を分かりやすくお話ししたいと思います。

お山に入るため

木曽の御嶽山は火山ですが、霊山としてもとても有名なお山です。

霊山というのは、神さまが住んでるお山のことです。
人々は、御嶽山には神さまが住んでいる、もしくは御嶽山そのものを神さまだと信じていて、大切にしてきました。

御嶽山 行者の登拝 7月

そのため、御嶽山へ入るには厳しい修行をしないとなりませんでした。

山へ入る=御神域ごしんいきへ入る
つまり「神さまのふところへ入る」「神さまに会いに行く」という感覚だったからです。

現代ではもちろん修行せずとも、誰でも御嶽山に登れます。
しかし修験者や御嶽山を信仰している信者さんは、今でも修行として御嶽山を登拝しています。

滝行の目的

なぜ修行しなくてはいけないのでしょうか?
それは「神さまのふところへ入る」「神さまに会いに行く」からだと言いました。

その道のりは険しいため、身体が強くなくてはいけませんでした。
そして神さまの領域(御神域ごしんいき)に入るのですから、日常のけがれ(ケガレ)を洗い清める必要がありました。
さらには煩悩ぼんのう雑念ざつねん)を捨て、心を清らかにすることが重要でした。

つまり修行の目的は、
身体を鍛え、心身を清め、精神を整えることだと考えられます。

御嶽山 滝行 6月

滝行たきぎょうは、そんな修行の集大成ともいえます。

日頃みなさんは、外から家に帰ったり、トイレのあとに手洗いをすると思います。
滝行たきぎょうはそんな風に、「全身を洗う」ことだと思ってみてください。
日常のけがれ(ケガレ)を洗い清める滝行はとても大事な修行でした。

みそぎ』や『水垢離みずごり』ともいいますが、『水』というのが、重要な要素となっています。
こと日本では、「ケガレや呪いは、水で清めれば浄化される」という考えが古くからありました。

御嶽山 三ノ池 

そして身体だけでなく、心を清めることが大切です。

そのほか修行中は、厳しい食事制限や、清潔な衣服の指定、お経を読んだり、お供えをしたりとたくさんの項目が決められていました。

霊山という神さまの領域(御神域ごしんいき)に入るために、
身体を鍛え、日常のケガレを落とし、煩悩ぼんのうを捨てることが必要だった。
そのための代表的な修行が滝行たきぎょうであった。

修行の場としての滝

ここで、王滝の二つの滝を紹介します。滝行たきぎょう行場ぎょうばとして今も利用されています。

清滝

御嶽山 清滝 11月

清滝きよたきは、このような光がさすと虹がかかる美しい滝です。
この滝壺の写真を見て何か気づく点はありますか?

御嶽山 清滝の滝壺 11月

足元が平らにならされていますよね。つまり滝行初心者や、ご高齢の方や子どもも安全にできるように作られているのが分かります。

御嶽山 清滝での滝行
提供写真

滝行はとても危険で、先達せんだつさんから作法をきちんと学ばないといけません。

新滝

王滝村は滝行たきぎょうに適した滝に恵まれていました。

御嶽山 新滝

新滝しんたきという滝は、板状節理ばんじょうせつりが発達した岩壁にかかっています。

御嶽山 新滝

板状節理ばんじょうせつりは、下部が抜け落ちやすいため、洞窟ができやすくなっており、滝の裏側へ行くことができます。

御嶽山 新滝 洞窟

普寛行者ふかんぎょうじゃが実際に修行した洞窟も残っており、かつての行者さんたちは、その洞窟に何日もこもってお経を読みつづけ、1日の決まった時間に何度も滝行たきぎょうを行ってきました。

黒沢には滝がない?

一方の黒沢口には、滝行たきぎょうに適した滝がなかったため、滝行たきぎょう用に人工の滝がいくつも作られました。

御嶽山 大祓滝
大祓滝

しかしそんな黒沢口にも、百間滝ひゃっけんたきという御嶽山最大の秘瀑ひばくがあります。落差約40メートルの直瀑ちょくばくで、滝まで辿り着くのは非常に危険な道のりとなっています。

御嶽山と百間滝 6月
御嶽山と百間滝

限られた者しか行けない、そんな百間滝での滝行たきぎょうは圧巻です。

御嶽山 百間滝 6月


くわしくは過去の記事をご覧ください。
いざ御嶽山の最大秘瀑【百間滝】滝行へ!
御嶽山の秘瀑【百間滝】へ修験者と行く![A面]
御嶽山の秘瀑【百間滝】へ修験者と行く![B面]

御嶽山 百間滝での滝行
百間滝での滝行

滝は神聖な場所

御嶽山の滝では、今でも滝行たきぎょうしている行者さんや信者さんがたくさんおられます。
とても大事で神聖な場所です。

御嶽山 新滝の注意看板

水に打たれるのは気持ちよく感じるかもしれませんが、滝行たきぎょうはとても危険ですし、きちんとした作法があります。

どうか滝で遊んだり、むやみに滝壺へ入ったり、興味本位で滝行たきぎょうするのはお控えください。

御嶽山 清滝の不動尊と弁財天

滝には、不動明王ふどうみょうおうさまや弁財天べんざいてんさま、摩利支天まりしてんさまが祀られていることが多いです。滝に行ったら手を合わせましょう。

霊山という神さまの領域(御神域ごしんいき)に入るために、修行していた。
修行の目的は、身体を鍛え、心身を清め(日常のケガレを落とす)、精神を整える(煩悩ぼんのうを捨てる)ことなどがあげられる。
そのための代表的な修行が滝行たきぎょうであった。
御嶽山の滝では、今でも修行として滝行が行われている。

最後に、貴重な写真を提供くださった大鐘龍昇おおがねりゅうしょう先達せんだつに感謝申し上げます。

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