覚明行者の頭陀袋に注目!

 前に【山丸三やままるさん】マークについて触れましたが、【山丸三やままるさん】を商標登録して使っているのが長野県製薬株式会社です。

御嶽山の至るところで見られる【山丸三】

 長野県製薬は百草丸などの薬だけでなく、オリジナルグッズもいろいろ売っており、Tシャツも人気商品の一つです。その中でまた一つ気になる紋様がありました。

 Tシャツの背面やトートバッグのデザインに使われているマークです。【山丸三やままるさん】ぽいですが、よく見ると全然違います。この紋様は何だろう?と、長野県製薬に勤める友人に聞いた所、「覚明行者かくめいぎょうじゃ頭陀袋ずだぶくろに使われてる紋様なんだよ」と言われました。

 というわけで、覚明堂に立つ覚明行者の像を確認してみると、、、

黒沢ルートの九合目に位置する覚明堂

 おお、確かに同じデザイン!頭陀袋ずだぶくろとは、布製の携行袋で、僧侶が修行の際に用いるものです。

覚明行者像の頭陀袋に同じマークがある

 けどこれは一体何を表しているのか??【山丸三やままるさん】の変化形??「山」の形が少し違うし、鞠のような「丸」に、漢字の「一」?

 そこで、知り合いの御嶽講の先達に思い切って話を聞いたら、いろいろ資料を提供してくださいました。

 貴重な木版画ですね!そしてやはり覚明行者に使われている紋様のようです!
「丸」の部分はどうやら植物の葉か、羽っぽいですね!?

 時を同じくして、二ノ池山荘の支配人から「こんな資料があるよ」と有力な情報を得ました。
 それが下記の著書「神鳥の声」です。すぐさま購入しました。
 この、和邇わに御嶽山という滋賀の御嶽講が出版した本によると、

覚明講紋と言われる紋(三つ山に抱き葦の葉に一の字)

「神鳥の声」木曽御嶽山案内記 御嶽教滋賀大教会 和邇御嶽山

 とありました!これは【覚明講紋】なんですね!
 なるほど、【抱き葦の葉】と言うことは、葉っぱのようです。あしという植物の葉で【一】の字を抱いてる形なんですね。そしてこの山は【三つ山】と言うんですね。

【山丸三】で使われてる【山】は【入り山】というそうです。なるほどなるほど。

百草丸の瓶に使われている【山丸三】マーク

 ちなみに【あし】とは植物の名前で、ヨシとも言われます。生薬としても使われていますが、覚明行者とのつながりまではわかりませんでした。

 余談ですがあしといえば、クラシックのくるみ割り人形で有名な「葦笛あしぶえの踊り」という曲があります。CMなどでもよく使われてるので、みなさん一度は聞いたことのある名曲です。
 そしてクラリネットやサックスなどの木管楽器の口先に使われているリードという木の部品がありますが、このリードの和訳が「葦」あしであり、葦で作られているんです。

 もちろん、覚明行者と【あし】のつながりは生薬としてなんでしょうが、クラシックを扱っている自分にとっては嬉しい繋がりですし、おかげで葦をアシとすぐに読めました。ちなみに私が演奏しているホルンという楽器の和訳は「角」です♫

 今回は、【覚明講紋】について触れました。「三つ山に 抱き葦の葉に 一の文字」で【覚明講紋】なんですね!長野県製薬はこの【覚明講紋】を少しデフォルメしたマークを使用していることがわかりました!【山丸三やままるさん】と対比するとしたら、略して【山葦一やまあしいち】といえばいいんでしょうか・・・♫

 ともあれ、協力してくれた長野県製薬の友人と、高針心願講の先達と、二ノ池山荘支配人に感謝いたします。

長野県製薬が販売しているトートバッグとTシャツ
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