【木曽の御嶽山】は活火山の代表とも言えますが、そもそも火山の定義とは何でしょうか?噴火している山のことでしょうか?ここでは火山の理科的知識と火山がもたらす恵みについてお話しします。
「火山とは、マグマの噴出・噴火・地表付近への上昇によってできた地形や構造を指す」
とされています。ですので、必ずしも「山」というわけではあるません。
あくまで地形や構造を指しています。
そして、「マグマ」とは地中にある状態を指し、地上に出た時点でそれは「溶岩」と言います。ですので我々は直接「溶岩」を見ることがあっても、「マグマ」を見ることはできないということです。「溶岩」は文字通り溶けた岩石のことです。岩石が溶けるにはおよそ1000℃以上の熱が必要です。
地球上の体積の約8割が、かんらん岩という岩でできておりますが、その姿は地下深くのマントルにあるため直接に見ることはできません。そのため、イメージが湧きにくいでしょう。
かんらん岩が溶けるには、温度の上昇と、圧力の低下、そして水が大きく作用します。特に日本は、プレートが海水とともに沈み込む境界にあるため、水の影響を大きく受けてマグマが作られていると言えます。
活火山とは、「概ね過去一万年以内に噴火した火山」「現在活発な噴気活動のある火山」のことを言います。
「概ね過去一万年」とは、地球上の歴史における「完新世」時代を指しています。
世界には約1500個の活火山があります。
日本は、地球上の陸地の約0.3%しかないにも関わらず111の活火山が存在します。単純計算で約24倍の数値になり、日本が火山大国であることを表しています。
(1500×0.003=4.5 111÷4.5=24)
続いて、火山の恵みについて紹介します。火山の噴火は、甚大な被害をもたらす脅威ではありますが、一方で多くの恵みを生み出します。
噴火して植生が回復していない火山では、裸地が多いため展望が良い山が多いと言えます。
溶岩はガスが抜けた隙間が多いため、水を豊富に溜めやすく、湧き水をもたらします。
溶岩の地層に水が流れると、岩盤を削り、直瀑と滑滝を作り出します。
また、溶岩が作り出す斜面はスキー場の斜面に適しており、火山にはたくさんのスキー場が作られています。
さらに、火口やカルデラに水が溜まることで湖ができて、美しい景観をもたらしています。
他にも、活発な噴気活動を間近に見られる体験や、豊富な温泉が湧きます。
そして、既存の自然環境がリセットされるという大事な役目も担っています。
その他にも、高山植物の女王とも言えるコマクサは植生のない砂礫地に生えるため、コマクサも火山の恵みと言って良いでしょう。
- 火山には独立峰が多く、展望が良い
- 水(湧水)が豊富である
- 滝ができやすい
- スキー場に適した斜面になりやすい
- 火口湖やカルデラ湖ができる
- 活発な噴気活動が見られる
- 温泉が湧きやすい
- 自然環境がリセットされる
- 砂礫池が増えるため、コマクサが見られる