高天ヶ原は「タカマガハラ」と読みます。他所でも聞いたことのある単語かもしれません。【高天ヶ原】と名の付く場所は、以前紹介した【賽の河原】と同じく全国各地にあります。【賽の河原】が死者の世界を表しているとするならば、【高天ヶ原】はまさに対極な場所かもしれません。
今回はそんな【高天ヶ原】と呼ばれる北御嶽を紹介します。
高天ヶ原とは?
【高天ヶ原】は、神さまが住んでいると伝わる場所で、それを思わせる場所をしばしば【高天ヶ原】と呼んでいます。ここでいう神さまの最高神は、日本神話の太陽神である【天照大御神】(アマテラス)です。
「まるで神さまが住んでるかのごとく、神々しくて美しい場所」
と言うわけです。その名の通り、前回紹介した【四ノ池】を含めたこの一帯は、御嶽山で最も美しい場所と言えます。噴火による影響も少なく、自然が保たれています。高山植物や、鳥、動物たちが豊かに暮らしています。
御嶽山では、“四の池の火口壁がなだらかな丘上に広がった地形”が【高天ヶ原】である、と書いてありました。四の池の火口壁といえば【継子岳】なんですが、
単純に【継子岳】=【高天ヶ原】というわけではなさそうです。
「高天ヶ“原”」というだけあって、写真に見えているなだらかな平原部分を指していることがわかります。登山道は周りを囲っているため中には入れません。
【継子岳】⊆【高天ヶ原】
意味:【継子岳】は【高天ヶ原】に含まれる、属する
という解釈をしたいと思います。
花の別天地
では御嶽山の【高天ヶ原】へ行ってみましょう。
【五ノ池】と【飛騨頂上】を越えて、【継子岳】へと伸びる登山道を進みます。傾斜はなだらかなので歩きやすいです。
【四ノ池】を望みながら、高山植物を愛でて歩ける幸せな道です。イワギキョウやオンタデ、ミヤマダイコンソウ、チングルマ、イワツメクサ、ツガザクラなど、7月はかなりたくさん咲いています。花の別天地をお楽しみください。
このあたりは特にコマクサがすごいです。
コマクサがところ狭しと咲いていますが、柵の中には立ち入らずに登山道を歩いてください。ですが登山道にも咲いてますので笑、足元には本当にご注意ください。
タカマガハラの神さまをを探せ!
このあたりは岩も楽しめるのでご紹介します。(花と違ってなかなか理解が得られにくいが)
まず「天の岩戸」と呼ばれる岩のトンネルがあります。修験の山ではよく「胎内くぐり」と言ってますが、ここを「天の岩戸」と呼ぶのはもちろんアマテラスの天の岩戸伝説にちなんで付けられています。わざわざ【高天ヶ原】と関連付けているのが分かりますね。
トンネルになってますが、潜って通る人よりも最近は岩の上へあがっちゃう人の方も多いです。どっちも通れます。
その先には磐座になった祠があります。岩小屋と言われています。
国産みの神であるイザナギ(【伊弉諾尊】)とイザナミ(【伊弉冊尊】)、そして
太陽神アマテラス(【天照大御神】)と月神ツクヨミ(【月読尊】)が彫られています。ツクヨミが祀られているのはかなり珍しいですし、逆にいえばスサノオ(【須佐男尊】)がいないことが不思議です。また今後に取り上げます。
以前御嶽山に見られる板状節理でも紹介した岩の露頭が個人的にはオススメです笑
平べったい岩がバラバラ落ちてます。
このあたりは「針の山」と言われています。
無数の岩が屹立して天を指しています。ここを過ぎるとまもなく【継子岳】です。
継子岳へ到着
【継子岳】2858mへ到着です。【継子岳】の由来については継母岳と継子岳の由来〜阿古多丸伝説〜もご覧ください。
素晴らしい眺めです。
北には乗鞍岳や、北アルプスの槍ヶ岳、穂高連峰が見えます。
継子Ⅱ峰へ
ではそのまま【継子Ⅱ峰】まで行ってみましょう。
こんな祠を通り過ぎます。これについては次回取り上げます!
緩やかに下ります。【継子Ⅱ峰】へ繋がっています。
ここでもコマクサの大群落を見ることができます。
登山道を歩きましょうね!前方が【継子Ⅱ峰】です。
前に紹介したアルマヤ天狗が祀られています。
この先は少し険しくなりますが、【四ノ池】の畔まで下りることができます。
この【高天ヶ原】は自然豊かですが、火山の痕跡である巨岩や岩脈が多く見られます。日本は巨石信仰の文化があり、岩には神さまが宿ると言われています。巨石が多いことと、自然豊かなことが【高天ヶ原】という名がついた由縁かもしれませんね。
御嶽山の形の石?!もある!
参考文献:
「山の神さま・仏さま」(太田昭彦)
「木曽御嶽山案内記 神鳥の声」(和邇御嶽山)
「木曽のおんたけさん」(執筆編集代表 菅原壽清)
「朱印帳 御嶽山三十八史跡巡り」(木曽御嶽神社)
「山と高原地図42御嶽山」(昭文社)
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