ニノ池に佇む建国姫龍神とは?!

御嶽山の紹介

以前百間滝の回で、百間滝展望所に建つ像が御嶽山のニノ池のものと全く同じだ、という話をしました。

この像の足元には【建国姫龍神けんこくひめりゅうじん】という名前が彫られています。

この像の由来を、御嶽山の強力さんから聞くことができたので、書き残しておきたいと思います。

 その昔、愛知県碧南市に在住していた男性信者が百間滝で千日行を行いました。冬を除いて通算で16年がかりの荒行であったそうです。その行を称えられて、男性信者は【建国姫龍神けんこくひめりゅうじん】として二ノ池に祀られました。そして行の感謝として百間滝遙拝所にも、同じ像を置いたんだそうです。この像は全部で三体あり、最後の一体はこの信者の属した御嶽教である、開基講みつる教会長の自宅(愛知県岡崎市)に祀ってあるそうです。
 二ノ池の【建国姫龍神けんこくひめりゅうじん】には【馬】の像が寄り添って建っています。この馬は、男性信者の妻を表しています。夫の千日行を理解し支えた功績、また、長年に渡る苦労をねぎらう意味で、午年うまどしであった妻を干支の形で祀ったものなんだそうです。
 

千日行とは、天台宗に伝わる【千日回峰行せんにちかいほうぎょう】が元であると考えます。この【千日回峰行】は7年の間、比叡山を1日何十キロも駆け巡り、時には不眠不休絶食を課される大変厳しい苦行です。
(私は割と信心深い方ですが、【千日回峰行】に関してはWikipediaで内容を読むだけでも恐ろしくて、正直理解できないレベルです。一体こんな苦行を誰が考えたんだと思ってしまいます……。それでも達成する人がいるんですよね。信じられないです。)

この信者さんはおそらく、【千日回峰行せんにちかいほうぎょう】のような修行を16年間かけて行ったんでしょう。岩窟に籠っての読経や、百間滝で滝行などされたんだと思います。与えられた神号が【霊神】ではなく【龍神】というところが特徴ですね。

もともと御嶽山の五つの池には、それぞれ五行思想に基づいた龍神が住んでいると伝わっています。ニノ池には、【赤色赤帝龍王大権現】が祀られています。(詳しくはこちら

左の写真は、木曽御嶽本教天昇殿に建つ【赤色赤帝龍王大権現】像です。どことなく女性的なその姿は【建国姫龍神けんこくひめりゅうじん】と似て見えませんか。

像の後ろには写真のような文字も掘られています。「??霊幸神」と全部は読めませんが、こちらは男性信者の霊神号なのかもしれません。

….ニノ池は噴火依頼、灰の池と化し、荒涼とした場所になってしまいました。雨風で火山灰は移動するため、その日によって【建国姫龍神】像は建ち方(埋もれ方?)が違って見えますね。台座の側面にも「百間滝千日….」と彫られているのが少し見えます。

冬の間は、ニノ池山荘の支配人が毎年山小屋の中へ運び入れてると聞きました。雪の重みなどで腕やお馬の尾が折れる心配があるためだそうです。優しさを感じます。

【霊神碑】も同じですが、御嶽山に祀ってある像の由来が分かると、より身近に感じて手を合わせやすくなると思います。このように、由来を周知することが今後も大切だなと感じました。

後日、この【建国姫龍神】についてさらに詳しく分かったことがあったので、気になる方は後日譚!建国姫龍神の石板発掘!?もご覧くださいね!

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