Roots.2 【おんたけさん】と【みたけさん】の違いは??

 日本には【勧請かんじょう】という慣習があるため、同じ名前の山や神社が散らばっています。
勧請かんじょう】とは、神様や仏様を分霊することを指します。

 そのため、【御嶽山】や【御岳山】と呼ばれている山は、日本中にあります。
 前回の通り、この二つは同じ意味の名前ですが、
 その読み仮名が【おんたけさん】だったり【みたけさん】だったりでするので
 さらにややこしい事態を生んでると思います。
 2つの書き方に対して、2つの読み方があるため、4通り存在するわけです。

 今回の疑問は、
「読み仮名は【おんたけさん】か【みたけさん】かどっち?」

 結論から言いますと、
・全国的には「みたけさん」と呼ぶ方が多いです。
・木曽の【御嶽山】に関係するものだけ、「おんたけさん」と呼びます。
(日本全国の山を統計したわけではありませんので、あくまで推測です)

とある里山【御嶽山】
これは「みたけ」と読む

 この結論に行くためにまず、【御嶽山】のルーツを知る必要があります。

 それは、奈良県吉野郡にある【金峯山寺きんぷせんじ】という、国宝に指定されているお寺です。
 別名【かね御嶽みたけ】と呼ばれている場所です。
 ここには、修験道の開祖【役行者えんのぎょうじゃ】が見出した【金剛蔵王権現こんごうざおうごんげん】という秘仏が本尊として祀られています。
 【金峯山寺きんぷせんじ】は修験道の総本山として、また修験道発祥の地として扱われており、
 日本全国に勧請かんじょうされました。

 まとめると
金峯山寺きんぷせんじ】 別名:【かね御嶽みたけ
 修験道発祥の地であり、総本山
 場所:奈良県吉野郡
 指定:国宝
 開祖:役行者
 本尊:金剛蔵王権現
 主な勧請先:【蔵王ざおう】 山形県の百名山
       【御岳山みたけさん】東京都青梅市
       【金峰山きんぷさん/きんぽうさん】山梨県の百名山
        別名 【甲州御岳山】こうしゅうみたけさん

 そしてもちろん、木曽の【御嶽山】おんたけさんにも勧請されています。


かね御嶽みたけ】が語源だったら、読み仮名は全部「みたけさん」でよくない?
 木曽の【御嶽山】だけどうして「おんたけさん」なのか?
 

 当然、木曽にも【かね御嶽みたけ】と言う呼び名は伝わりました。
 しかし、【御嶽山】はその堂々たる佇まいから、さらに別の呼び名が付きました。
 【おう御嶽みたけ】という呼び名です。室町時代初期の山名は【王嶽おのたけ】であったいいます。
王嶽おのたけ】が【御嶽おんたけ】に代わってくるのは室町時代中期で、【おう御嶽みたけ】の「王」の字を略し、
御嶽】で「おうのみたけ」「おおのたけ」「おのたけ」と少しずつ変化して「おんたけ」となり、
 人々は敬意を込めて「おんたけさん」と呼ぶようになったのです。

 そのため前回、木曽の【御嶽山おんたけさん】と東京の【御岳山みたけさん】とは関係ないと言いました。
 元は、同じ【かね御嶽みたけ】から勧請された山ではありますが、
 【御嶽山おんたけさん】はいわば、【おう御嶽みたけ】として独立したという感覚です。

 今回の疑問
 「読み仮名は【おんたけさん】か【みたけさん】かどっち?」

 結論まとめ
・【御嶽山】も【御岳山】も元々の読み仮名は「みたけ」である
・【木曽の御嶽山】だけ「おんたけさん」と呼ばれている

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